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レインウェアの歴史

Rainwear (レインウエア)

レインウエアの誕生

 雨よけの為に用いられるレインウエアの原型が誕生したのは、「折りたたみ式傘」が発明されてから、さらに32年後の1747年、木の樹液を古いコートに塗りつけて防水加工を施したものが、始まりと云われています。

 より現代に近い防水生地は、1823年にスコットランド人のチャールズ・マッキントッシュ(Charles Macintosh)が、二重の布地の間にゴムを型入れする加工法を完成させたことにより生まれています。 実際、1900年代になってもほとんどのレインコートは、マッキントッシュと呼ばれ、足首まで達するほどの丈の長いものでした。 また、この当時の鉄道車両には天井もなく、雨が降ると乗客は、マッキントッシュのレインコートを着なければ列車に乗ることが出来なかった。と云う逸話もあります。

レインウエアの進化

 レインウエアの分野が大きく進化を見せたのは、やはり第一次世界大戦の時でした。それはトーマス・バーバリー(Thomas Burberry)が、雨水をはじくように化学処理をした、先染めの素材で綿ギャバジンのトレンチ・コートを作り出したことによります。この加工法は、生地が持っている通気性を全く損なうことが無かったので、水をはじく性質を持ったコートであって、防水コートではありませんでした。 その後、アクアスキュータム(Aquascutum)によって、軍人用のトレンチ・コートが製造されるようになります。(12月のWeb Shopをご参照下さい。)

 やがて1930年代になると、絹が男性に相応しい薄手の防水地として注目を浴びるようになっていきます。型は綿コートと同じようにバルマカーンで作られ、大部分は打抜き釦ですが、比翼仕立てのものもあったようです。そして軽さを求められていた為、シングルで生地に防水加工されたものや、ゴム引き処理をされたものもありました。また、旅行の時に便利でポケットや自動車の小物入れに入れられるように同じ生地で作った小袋が付いていたことも特徴です。

 1935年11月号の『エスカイア』誌には、「サイドベンツ付きの新しい丈の短いレインコートは、郊外用のスポーツ観戦に相応しい。」と書かれていることから、長い丈が主流だったこの時代に、短い丈のレインウエアが新しく出て来た事が伺えます。但し、この頃に最もよく売れた型はダブルで、そのほとんどがベルト付きのラグラン袖だったとの記録も残っています。

 1940年には、ある有名なレインコートの製造業者が驚異的な新しい防水法を発表しています。それは、アメリカのグッドリッチ社コロシールド加工(Korosealed)で、「100%完全防水で長い耐久性を保証し、土砂降りの雨も防ぎます。」と広告され、ふくらはぎまでの丈があるにも係わらず、持ち運び用の小袋に畳み込んだ時の重さは、僅か5オンス(約142g)だったそうです。また、この頃よりレインウエアが実用性だけのものから「格好よく雨を退ける。」と云う、ファッションの領域に入ってきていることも、1941年の『エスカイア』誌は記述しています。

 1950年代に入るとアメリカの大学生は、雨の日のキャンパス用に防水加工した綿ポプリンで比翼のラグラン型レインコートを同じ素材のレインハットと一緒に着用しています。また一部のレインウエア製造業者が、100%完全防水と自賛したビニール製のバルマカーンコートを小袋付きで販売し始めたのもこの頃で、1953年2月の『エスカイア』誌には、オール・ナイロン製の軽く、シンプルな完全防水のレインコートについての広告があったそうです。

 1960年代初期には、膝上までの長さへと次第に短くなり、38インチ(約97cm)丈のコートも珍しくなくなったようです。また、一時期流行が終わっていたビニール製のレインコートも、1970年代になって復活していきます。

日本のレインウエア

 日本では古来より、「蓑」を雨具や防寒具としていましたが、15世紀後半から南蛮貿易を通じて服飾文化も輸入され、「蓑」に代わって「合羽」が使われるようになります。

 江戸時代になると、衣生活に合わせていくつかの種類が生み出されていますが、羅紗は高価な為、桐油引きの紙合羽が考案されます。その後、幕末・明治初頭には、合羽がトンビやマントとなり、明治後半には、ゴム引きの防水マントが「カッパ」と呼ばれるようになります。そして日本人の服装が洋風化していくとともに、レインコートに転じていきます。

 また材質も、絹・木綿・化繊、さらにビニール製とその時代によって変化し、現代では、透湿性防水加工の新しい素材が生み出され、使用されています。これは、自動車など交通機関の普及によって、機能や効用がその都度、問い直された結果だと云えるようです。

信濃屋におけるレインウエア

 信濃屋は、1930年代に取扱いを始めたバーバリーや、1970年代になって取扱いを始めたアクアスキュータムはもちろんのこと、チェスターバリー(Chester Barrie)やシーラップ(Sealup)、ヘルノ(HERNO)など、その時々に合ったレインウエアを展開してきています。また近年では、バーバリーのライダーモデルをオリジナルで再現する提案もしています。 (この秋冬も作製予定です。)

 また信濃屋でのポケッタブル・コート(パッカブル・コート)は、1970年代から取扱いを始めたダンロップ・マスターズ(Dunlop Masters通称ダンマス)のコレクションにあった小袋付きが、最初だったと記憶しています。その後、ドイツのブルテル(bultel)やヘルノ(HERNO)、傘メーカーのフォックス(Fox)などで作られた、コート自体が折り畳めるものを販売しています。


※バルマカーン
バルマカーンとは、男性用コートで多く用いられるスタイルのこと。ステンカラーの第一釦をはずした形で、ラグランスリーブに裾広がりが特徴。

※桐油
アブラギリの種子を圧搾した乾燥油


参考文献
・スタイル社『エスカイア版20世紀メンズファッション百科辞典』(日本語版)
・スミクラ社 ホームページ「合羽の歴史」
・平凡社『百科事典』
・婦人画報社『TAKE IVY』

 

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