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バラクータVS.ドリズラー。




大人の風格

 バラクータを最初に見たのは映画雑誌スクリーンのグラビアでした。

 スティーブ・マックィーンが白のオックスフォードのボタンダウンにVネックセーターを着て、オフホワイトのスィングトップのジャンパーを羽織っていたのです。

 サージの紺ブレや肘あて付きのヘリンボーン、タートルネックにノーフォークジャケットなどなど、自分流に言わせていただくと「昭和のお洒落の楽しみ」が満ち溢れている季節ということになります。

 当時、スィングトップは持っていたのですが、それはマクレガーのドリズラーのように、身頃と同じ布の襟で、袖口はボタン、ポケットに蓋はなく、裏地の付いてない薄手のジャンパーでした。ブランドは確かラングラーでした。

 マックィーンのジャンパーは襟が暖かそうなニットで、裏地は鮮やかなタータンチェックが襟の折り返しからうかがえました。袖はラグランで袖口も襟と同じニットでした。

 あまりのカッコよさに切り取って机の前にピンナップしたものです。

 その後、1968年にフェイ・ダナウェイと共演した『華麗なる賭け』で紺のバラクータを着てグライダーに乗っている有名なシーンがあり、マックィーンのしなやかな動きによく似合っていたのを覚えています。

 それより10年前の1958年に、ウォルター・マッソウ、ヴィック・モローと共演した『闇に響く声』でエルビス・プレスリーが着こなしていたのを知ったのはもっと後からでした。

 健さん(高倉健)はけっこう沢山の映画でバラクータを着ていますが、何といっても『あなたに』でしょうか。

 バラクータはちょっと落ち着いた大人の風格を感じさせてくれます。

悩み多き青春

 ドリズラーに初めて出会ったのは高校3年のときです。

 ペンギンマークのマンシングウェアの長袖のポロシャツが流行っていて、その上に襟にタブの付いたジャンパーを着るのがカッコよかったのです。

 それがマクレガーのドリズラーでした。

 襟のタブが大きいのと小さいのがあって、大きいタブは襟の裏に織り込んだ時にチラッと見えていてとてもいい感じでした。

 袖はセットインスリーブで袖口はボタン留めでした。ポケットの周りにぐるっとパイピングがしてあり、ポケットの口は後ろが前に重なる雨蓋になっています。

 人気TVドラマの『逃亡者』で主演のデビット・ジャンセンがいつも着ていたのですが、その時はただの作業着のように見ていただけで魅力が分かりませんでした。

 映画ではジェームス・ディーンの『理由なき反抗』で、ジミーの真っ白なTシャツと真っ赤なドリズラーの鮮やかなコントラストは悩める青春の若者の姿として、永遠に映画ファンの心に焼き付いています。

 当時バラクータは高価でとても手が出ませんでしたが、ドリズラーはアルバイトをして頑張ればなんとか買うことができましたので、青春の楽しさ、恥ずかしさ、ほろ苦さとともに身に着けてきました。

 いまはバラクータも愛用していますが、ドリズラーを着るとまさに悩み多き青春時代が甦ります。

 
著:小熊俊行(おぐま・としゆき)
大手広告代理店を経て、(株)マーベリック出版を設立。米国DC COM社と提携し「月刊スーパーマン」創刊。
1980年(株)バス・コーポレーションを設立、現在に至る。
東京ディズニーランド開業、横浜博覧会、関西国際空港開港等のプロジェクトに参画し、好意づくりのコミュニケーションを目指す。
また地域のまちづくりや活性化事業のアドバイザー等、生活者のニーズを満たすまちづくりや担い手づくりなどの支援活動に携わる。
トラッドなアイビーファッションの愛好者であり、2014年より(株)信濃屋の顧問を務める。
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