着こなし先生マックィーン
誰にも人生を左右するような出会いがあると思いますが、自分は青年時代に3つの大きな出会いがありました。
それはVANジャケット、リーバイス501、そして俳優のスティーブ・マックィーンです。
最初に出会ったのはマックィーンで、中学生の頃見たTV西部劇『拳銃無宿』のジョッシュ・ランダルでした。ララミー牧場やボナンザも大好きでしたが、マックィーンのジョッシュはほかの西部劇の服装と全く違う、空色のネルシャツにホワイトジーンズというお洒落なスタイルでした。
その後『大脱走』をはじめ、『ブリット』、『シンシナティ・キッド』、『ハイウェイ』、『華麗なる賭け』、とつづき最後の『ハンター』までアクションとファッションで魅了してくれました。
なんでもない服でも、例えばパピヨンの囚人服でもかっこよく着こなすのです。服そのものより着こなす楽しさ、面白さを目を皿のようにして盗みました。
『マンハッタン物語』のトレンチコート、『大脱走』のA-2ジャンパー、『ブリット』のヘリンボーンのジャケットとマッドガードのチャッカーブーツ、『ハンター』のMA-1ジャンパーなどなど、必死になって真似をしたものです。
VANはライフスタイル
高校になってVANとの付き合いが始まりました。はじめて出会ったのは中学3年のときですが本格的にお付き合いをはじめたのは高校生になってからです。
メンズクラブという雑誌、あるいは石津謙介氏やくろすとしゆき氏の書籍、穂積和夫氏のイラストなどのメディアとVANファッションが一体となって、何も知らなかった当時の若者にファッションの楽しさを教えてくれました。
あえて言えば、VANを着る楽しさというよりも、VANを着て行動する楽しさを教えてくれたのではないかと思います。ファッションはモノではなく、シーンでもなく、ライフスタイルなんだということを、VANは最初から発信していました。
ネイビーブレザーと501
リーバイス501との出会いは大学にはいってからです。
当時渋谷の道玄坂を登りきったところにGパン屋がありました。名前は忘れてしまいましたが、ジーンズショップというよりGパン屋というたたずまいで、新品だけでなく中古のいい色に抜けたジーンズをたくさんならべてありました。
中古なのに新品より高いものがあり、お店の人に聞くと、501というこだわりのジーンズだと教えてもらいました。試しに履いてみるとすごく履きやすい。
それまでジーンズといえばVANが教えてくれたラングラーを履いていたのですが、シルエットがきれいな分、胴長短足の典型的日本人体形には窮屈なところがあったのですが、501はその体形に無理なくここちよいのです。
501のこだわりは履きやすさではなく、一番古いジーンズとしてリベットの付き方とか、ボタンの形だとか、セルビッチ(赤耳)の種類とかで100万円を超えるものもあるということは後になって知りました。
ジーンズがスニーカーやウエスタンブーツだけでなく、ローファーやネイビーブレザーともよく似合うと教えてくれたのが501だったのです。
|