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着物の「いき」。

着物の「いき」。

日本が世界に誇るトラッド

 着物に興味をもったのは、大学時代に九鬼周造の「いき」の構造を読んだことと、卒業した年に松屋銀座に就職した親友が、呉服売り場に配属されたからでした。

 九鬼は「いき」という言葉に相当する外国語は英語にもドイツ語にもラテン語にもなく、最も近いのがフランス語のchicという言葉であるが、「媚態」「意気地」「諦め」の「いき」の内包的構造の「媚態」を含んでいないといっています。

 シックは「上品」「巧み」ではあるけれど「色気」がないということでしょうか。

 「媚態」とは男と女の関係であり、それはけして交わらない平行した直線、でなければならない、何とかしたいと手練手管を使うところに「いき」があり、交わってしまったとたんに「野暮」になるといっています。

 「粋な浮世を恋ゆえに、野暮にくらすも心から」。

 外国に相当する言葉がない以上「いき」はわが国、わが民族独特の価値観であり、美意識であり、文化であるわけです。九鬼は「いき」とはわが民族に独自な「生き方」の一つではあるまいか、とさえいっています。

 高校時代にVANの洗礼を受けたアメリカ大好きのアイビー少年は、はじめて日本文化の奥深さに感動したものです。

「いき」な色彩とは、灰色、褐色、青色

 「いき」の表現は、永遠に交わらない平行線、即ち「縞」です。それも横縞でなく縦縞です。格子は正方形の碁盤縞より横より縦が長い格子縞のほうが「いき」です。

 色は第一に鼠色、第二に褐色系統の黄柄茶(きがらちゃ)と媚茶(こびちゃ)、第三に青系統の紺と御納戸(おなんど)、即ち灰色、茶色、青色の三系統のコーディネイトを「意気なこしらえ」といっています。そしてその表現媒体が着物なのです。

 自分の着物は、親友に勧められるままに松屋の呉服売り場にいって、ベテランの上司の方から楽しみ方を教えていただくことから始りました。まず着こなしよりも畳み方を覚えると、着ることが億劫にならなくなるとおそわりました。

 それから毎年大晦日の松屋銀座これきり市で、特別価格のものを1年に1枚作る事にしました。アイビーのブレザーやジャケットとパンツの組み合わせのように、着物に色違いの羽織や袴を組み合わせるのがとても楽しみになりました。

 当時、参考にした「男のきもの読本」のなかで、石津謙介さんが狂言の紋付の青色の着物に、イタリアンカラーの白シャツの襟を出して着ているのに感激して、着物もアイビーももっとソフィステケイトいていいんだと思いました。

 ※九鬼周造の「いき」の構造の解釈は筆者の個人的なものです。他の解釈やご意見をぜひお聞かせください。

 
著:小熊俊行(おぐま・としゆき)
大手広告代理店を経て、(株)マーベリック出版を設立。米国DC COM社と提携し「月刊スーパーマン」創刊。
1980年(株)バス・コーポレーションを設立、現在に至る。
東京ディズニーランド開業、横浜博覧会、関西国際空港開港等のプロジェクトに参画し、好意づくりのコミュニケーションを目指す。
また地域のまちづくりや活性化事業のアドバイザー等、生活者のニーズを満たすまちづくりや担い手づくりなどの支援活動に携わる。
トラッドなアイビーファッションの愛好者であり、2014年より(株)信濃屋の顧問を務める。
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