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けん玉というハイブリッド。

けん玉というハイブリット。

日本一トラッドなおもちゃ

 アイビーボーイにとって一番トラッドなおもちゃは何かと考えた時、自分はすぐけん玉が思い浮かびました。

 そう、あの子供のころに「もしもしかめよ」といって遊んだけん玉です。子供時代からずっと愛用していて、じつは仕事の時にもって行くショルダーバッグのなかに、ひとつ忍ばせているのです。

 事務所の机の引き出しにも入っていて、パソコンを長く使ったり、出張の先のホテルにチェックインした後などに、気分転換とストレス発散に遊んでいる、なくてはならない道具なのです。

 家族に白い目で見られながら、いつの間にか集め始めたけん玉ですが、歴史をひも解くととても面白いおもちゃなのです。

 けん玉は日本古来の玩具だと思っていたのですが、実は1777年(江戸安永7年ごろ)にフランスから伝わってきたものなのです。

 ルーツはフランスの「ビルボケ」という、けんと玉のみの玩具と、イギリスの「カップアンドボール」という皿と玉のみの玩具といわれています。世界中のけん玉はこのどちらかに分かれているようです。

 わが国ではフランス式が1777年に伝来し、イギリス式はその約100年後の1875年(明治8年)にやってきました。日本の子供たちはフランス派とイギリス派の分かれていたのですが、それから約50年後の大正デモクラシーの時代に、フランス式とイギリス式を合体させた、けんと玉と皿を3つ備えた、あの今のけん玉を開発し、爆発的なけん玉ブームをおこしたのです。

 私たちが今知っているけん玉についていうなら、日本のオリジナルの玩具であり、世界的にみても総合的で機能的で最も美しいけん玉といって過言ではないと思います。

日本が誇るハイブリッド玩具

 けん玉はたかが駄菓子屋で売っていたこどもの玩具ですが、その歴史上の実体は日本人の創造性と柔軟性の上に開発されたハイブリッド商品であったわけです。ここに流れているものは現代のITや自動車産業に受け継がれているというのは大げさ過ぎるでしょうか。

 集め始めて20年ぐらいになりますが、出張や旅行に行った先々で時間があるとおもちゃ屋や駄菓子屋をのぞいて集めたものが200位あります。自宅の壁を改装して陳列するケースも作りました。

 ただ私のけん玉ショーケースの中にある、3本剣のけん玉や、玉に沢山の穴をあけたけん玉、皿が5つあるけん玉を見ると、技術優先で使い勝手を無視した行き過ぎた進化だけは避けたいものだと思うのです。

 日本のこのハイブリッドなけん玉が、フランス式やイギリス式をおさえて今世界で大ブームを起こしています。さまざまな技を創造できる無限の可能性を持ったクリエイティブなおもちゃであることが世界の若者に受け入れられたようです。

 それではちょっと気分を変えて、けん玉をふってみますか。

 
著:小熊俊行(おぐま・としゆき)
大手広告代理店を経て、(株)マーベリック出版を設立。米国DC COM社と提携し「月刊スーパーマン」創刊。
1980年(株)バス・コーポレーションを設立、現在に至る。
東京ディズニーランド開業、横浜博覧会、関西国際空港開港等のプロジェクトに参画し、好意づくりのコミュニケーションを目指す。
また地域のまちづくりや活性化事業のアドバイザー等、生活者のニーズを満たすまちづくりや担い手づくりなどの支援活動に携わる。
トラッドなアイビーファッションの愛好者であり、2014年より(株)信濃屋の顧問を務める。
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