夏こそスーツ
夏のメンズファッションは涼しいものを着ることよりも、清涼感を演出することが重要だと思います。
夏になると、クールビズといういかにも奇妙な服装が、街や職場のいたるところで見られるようになります。
確か小泉政権のときに、夏の電力不足の省エネ対策として、冷房を28度に設定するためにノーネクタイやノージャケットを奨励したのが始まりでした。小泉首相や各大臣たちが、着てきたスーツから慌ててネクタイを外したというような格好でTVのニュースに映っていました。
気象庁によれば25度から夏日で、お子さんやお年寄りは熱中症にご注意くださいと呼びかけているわけですから、28度はかなり暑いのです。ネクタイやジャケットをとったぐらいで涼しくなるはずもなく、職場では仕事の能率が下がってかえって不経済だと思うのです。その上、職場の雰囲気もきりっとした緊張感が失われてしまいます。
街中でも、ただネクタイをはずしたのがクールビズだと思っている人が多いのか、だらしない服装の男たちが増えたように思えてなりません。通勤電車のなかでもノーネクタイの人の近くに行くと汗臭く、暑苦しく感じます。
一方真夏にスーツを着てネクタイをきちっと締めている人は、凛として清々しく、時に見た目に涼しげでさえあります。大抵の場合、コロンのいい香りがしてお洒落な印象を受けます。
風鈴、金魚、朝顔、うちわ
夏の服装は何よりも清涼感が大事です。実際に温度が涼しいというよりも、涼しく感じることの知恵が日本の夏の庶民の身の処し方、今流にいえば生活文化なのではないでしょうか。
例えば、風鈴、金魚、朝顔、ほおずき、すだれ、うちわ、ゆかたの柄、かき氷の旗、売り歩く豆腐屋さんの声など昔から庶民が楽しんできた夏の涼しさを感じる風物詩ですが、実際どれも温度を下げる効果はありません。
夏に白や白っぽい服を着て、サックスなどブルー系のシャツやネクタイ、靴でコーディネイトするのも、見た目にいかにも涼しげでさわやかな印象を演出できるからだと思います。
夏こそスーツをきちっと着こなして、清涼感を周りに振り撒こうではありませんか。
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