雨の日は冒険の日
1983年、ニューヨーク、コッチ市長は、マンハッタン島最南端のイーストリバー河口に昔からあった魚市場、フルトンマーケットを改修して「サウスストリート・シーポート」というテーマパークをつくりました。
魚市場は「フルトンマーケット」という名前を残した、世界のシーフードのテーマ館になり、17号埠頭に「ピア17」という巨大なファッションのショッピングセンターをつくりました。
自分はこのショッピングセンターの「冒険」というテーマが大好きでよく自転車で遊びに行ったのですが、バナナリパブリックなどの人気店に並んで「雨」をコンセプトにしたお店があったのです。
傘、レインウェア、レインシューズなどがカラフルでいかにも楽しそうに並べられていました。このテーマパークをプロデュースした建築家ジム・ラウスは雨の日は冒険の日というプレゼンテーションがしたかったのかと、改めてニューヨーカーのお洒落さがうれしくなったものです。
それ以来自分にとって雨の日は、思い切り派手で明るいコーディネイトという冒険ができる楽しい日になりました。
I’m Singin’ In The Rain
梅雨のシーズンにはVゾーンにピンクやイエローのシャツと、原色や大柄のタイをコーディネイトします。コードレーンやオフホワイトのジャケットに、オフホワイト、クリームイエロー、サックスのパンツを合わせます。
昔は雨の日はお尻に跳ねが上がって、パンツの裾が汚れていました。いろいろ研究した結果、ジャック・レモンの膝をピンと伸ばして、靴の爪先と踵を同時に地面に付ける歩き方が、跳ねが上がらないことが分かりました。
靴はリーガルの合成底のローファーが雨の定番です。どんなにはげしい雨の時でも絶対に水が漏れてきません。サドルシューズのラバーソールも雨に最高です。派手な2色使いが雨の日を楽しくしてくれます。家に帰ってまだ濡れているうちに保革剤(自分はヘアークリーム)を塗って乾かすと、クリームが革にしみ込んで防水効果があがります。
コートは信濃屋のFOXのレインコートがお気に入りです。この明るいネイビーブルーに合うタイが自分のトラッドのラインナップには無かったのですが、なんとイタリーのルチアーノ・バルベラのニットタイがハマったのです。
昔のVANのいろいろなワッペンを縫い付けたレインハットを被って、できるだけ傘は差しません。春雨に濡れて行くのは、幕末の武市半平太いらいの日本の男のロマンですから。
映画は『雨に唄えば』ですよね。アメリカ映画協会の発表では、歴代のミュージカル映画のベスト1、映画主題歌ベスト100の第3位、アメリカ映画ベスト100の第10位にランクされる名作です。
自分は字幕を追わずに華麗なダンスが堪能できる、日本語の吹き替え版が好きです。主演のジーン・ケリーの声を先日亡くなった愛川欽也さんがやっているんですよ。
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