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SHINANOYA lifestyle Web Shop | 横浜 信濃屋

そろそろ自転車でも磨こうか。

腕時計派か懐中時計派か。

乗って楽しみ、いじって楽しむ。

 春の気配を感じるようになると、自転車を乗りたくなります。自転車は冬でも乗れますが、あまり寒いのは好きではないので、本当の自転車乗りとは程遠いと自覚しています。

 自転車は、パーツを好みのモノに自分で組み替えることができるアッセンブリーな道具で、カントリーやブルーグラスの楽器のバンジョーとよく似ています。使って楽しみ、いじって楽しむというところでしょうか。

 愛用の自転車はロードタイプで、カンパニョーロのVictoryを組み込んだモデルです。パーツは全てカンパのVictoryでフレームもVictoryとなっています。よほどカンパニョーロが好きな人向けでしょう。

 もちろん自分はカンパが大好きです。それもこの、Victoryのシリーズが好きです。Victoryは80年代のヴィンテージパーツですが、70年代までの丸みをおびたデザイン、あるいは90年以降のエアロデザインと違って、カチッとしたデザインに仕上がっています。

 そのいかにもイタリアの職人が1点1点手造りで仕上げた美しさと、自己主張に感激して、当時奮発して手に入れました。

 なにより美しいことがカンパニョーロの魅力です。マニアの間では日本のシマノの方がはるかに優れているという評価が多いようですが、美しさやモノ造りのこだわりがまったく違うと思います。

 個人的な見解ですが、中国や東南アジアの工場で作られたものと、イタリアの職人の手造りの差のように思います。カンパの方が倍以上高い価格の差もモノ造りのこだわりの差と考えれば納得できます。

ソックスはアーガイル。

 自転車に乗るにはコートはふさわしくありません。腰までのジャンパーかジャケットが運転しやすく快適です。上にコートを着ないで楽しむノーフォーク・ジャケットが狩猟よりも、自転車好きの紳士たちによって広められたといわれるのもこのためだと思います。

 春の自転車シーズンの開幕にはツイードのジャケットにタートルネックでいきたいですね。レースはともかく街のツーリングには体にぴったりしたサイクルウェアは、恥ずかしくて着られません。

 自転車に乗る時に、意外に大事なのが足元です。ロードレーサーにはチェーンカバーが付いていないので、パンツの裾がチェーンにはさまり、転倒して怪我やへたをすると頭を打って死亡するという事故がいまだにあります。

 そこで自分は乗る前にパンツの裾を、くるっと丸めてソックスの中に入れ込みます。こだわるのはその時のソックスの色や柄です。ジャケットやパンツの色はもちろん、自転車のフレームやカンパのロゴとのコーディネイトも楽しみます。

 ペダルをこいでいる時に色が混ざって、ちょうどいいコーディネイトが現れるように考えて選んだアーガイル柄が、街のウィンドウに映って楽しい雰囲気をつくりだしていると、思わず「やった!」となります。

 目的地に着いたら降りて歩きますから、クリップ式の靴は向きません。自転車シューズは底の固いものであればペダルに無駄なく力が伝わります。自分はペダルクリップを使うので、細めのスニーカーを愛用しています。

 20年以上愛用している年代モノの自転車ですが、かつては自宅のある東京都練馬区の区民体育大会の自転車競技部門で、一緒に銀メダルを取ったこともあるのです。

 あの薄くて軽いロードレース用のサドルは、最近はお尻に痛くなってきたので、スプリング付きの革の大ぶりのサドルに変えたのを、古い戦友は何と思っているでしょうか。

 
著:小熊俊行(おぐま・としゆき)
大手広告代理店を経て、(株)マーベリック出版を設立。米国DC COM社と提携し「月刊スーパーマン」創刊。
1980年(株)バス・コーポレーションを設立、現在に至る。
東京ディズニーランド開業、横浜博覧会、関西国際空港開港等のプロジェクトに参画し、好意づくりのコミュニケーションを目指す。
また地域のまちづくりや活性化事業のアドバイザー等、生活者のニーズを満たすまちづくりや担い手づくりなどの支援活動に携わる。
トラッドなアイビーファッションの愛好者であり、2014年より(株)信濃屋の顧問を務める。
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